シナリオ補足:

  ――人は死んだらどこへ行くの?
  少女は尋ねた。
  ――あなたの想うところよ。
  今は亡き母は答える。

    満天の星空が一つ、涙を零す。

  あの夜に語られた挿話を一つ。
  今となってはもう、

  思い出す者とてない、
  錆び付いた御伽話を。


    魔道書大戦RPG マギカロギア
    『パーフェクト・スターリィ・スカイ』

            その忘却は、果てしなく優しく。




<天涯>より伝達。
『墜落する星空の車輪』なる<禁書>の脈動を、複数の夢見が感応せり。
詳細不明なれども六分儀市にその兆候強くあり。
災厄が発動すれば、天に遍く浮かぶ星々は悉く大地を穿つだろう。


●PC1
[背景:
1年前の魔法災厄で消滅した魔法使いの一人と、かつて同じ分科会に所属していた。
その際の禁書は強制封印に成功しているが、往時の分科会メンバー全員が消滅した都合上記録の改竄を余儀なくされており、
事件は未解明な部分を残したままとなっている。
あなたの中でもすでに、消滅した魔法使いの顔や声の記憶は曖昧なものになってしまっている。]

・導入
君の元に奇妙な声が届く。
「あの子の事を…お願い…。」

それは冬の入り口。道ゆく人びとの装いは陰色濃く、皆一様に首元を窄めて行き過ぎる。
声には朧げに聞き覚えがあった。
顔、は、既に深い靄の中に隠れ思い出せない。
ふと見上げた空には昼間の月が白く浮かぶ。
あるいは、幻聴だったのかもしれない。

あの子。
思い当るのは、一人だけだ。


●PC2
[推奨背景:六分儀大学関係者]

・導入:
大学のとある講座が最近休講続きで、担当の准教授は教授会にも顔を出していないと云う。
准教授と懇意にしているあなたは、街外れの小高い丘に向ってふらふらと歩いて行く彼女を見かける。
あの先にあるのは展望台。
彼女と共に寒空の下、望遠鏡の先の星々を眺めたのを覚えている。


●PC3
・導入:
駅の階段でぶちまけた書類を拾うと云うのはなかなかに大変なものである。
特に、一人でやる時は。
あなたの目の前で必死になって書類を集めている小綺麗なスーツの男も、まぁ目に見えて大変そうである。
人々は到着した電車に間に合うべく足早に駆け上がるか、もしくは疎ましげに横目で見ながら脇を降りて行くのみ。
ロンリネスシティ、ロクブンギ。
手伝うも手伝わざるも、それはあなたの心向き次第と云うもので。


●PC4
・導入
ネットのコミュニティで立った相談ごとのトピックに、気になるフレーズがあった。
最近身の回りで物がよく落ちる。
幸い今のところ怪我はないけれど、中にはどこから落ちてきたか分からないものも混じっている。
例えば、教室の中で植木鉢が。
例えば、運動場で風呂桶が。
例えば、校門前で大きなぬいぐるみが。
共通点が一つ‥全て、一部が燃えた形跡がある。
同じような体験をしてる人はいませんか?と云う問いかけに、賛同の声もちらほらと上がっている。
早い内に手を打った方がよさそうだ。